説明可能なAI活用事例 ~4次元軌道~

– はじめに

近年AIの実用化が急速に進み、重要な判断をする場面にもAIの活用範囲が拡がり始めております。
しかし、ブラックボックス的なAI技術だけでは、重要な場面ほど適用されにくいことも想定されます。
今回は、安全で効率的な運航を実現するために考えられている4DT(4次元軌道)を、説明可能なAIの事例として解説します。

  1. 4DTとは(4次元軌道とは)?
  2. 4DTの実現に向けて
  3. 4DTの将来性

1.4DTとは(4次元軌道とは)

航空運航の領域において、今よりも安全面を確保したうえで、航空衛星や様々な支援システムを活用、連携し、
処理能力、予測精度の向上を図り、4次元(3次元+時間)ベースで最適な軌道を事前に算出し、
4次元軌道を精密に管理・調整することで、混雑空域・空港での高密度な運航を実現する仕組みです。


(CARATS推進協議会事務局資料より引用)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001481452.pdf

従来は、到着地点までのポイントにある程度の通過予測時刻を設け、遅延状況等を把握し終点での順序付けをしていました。
そのため、羽田空港近くの上空にたくさんの飛行機が、着陸の順番待ちのために旋回していました。

ポイント
① 遅延状況を把握可能
② 到着順を順序付け可能

現在では、交通量の多い複数地点に通過時間を置き、その情報を共有することで混雑状況を把握することで、
従来より、安全で効率的な運航が可能となっております。

ポイント
① 遅延状態の早期発見
② 渋滞予測が可能となり、事前対処できる

ただ、航空運航においては、予め定められた固定的な経路での航行が基本であり、自由な航路を選択することがないことから、
まだまだ、混雑空域、空港の混雑を改善する余地が残ります。

4DTでは、固定経路でなく、最適な軌道を事前に算出、4次元軌道を精密に管理し、
リアルタイムに変化を吸収、対処することで、更なる安全で且つ、高密度な航行を実現します。

ポイント
① 予め最適な起動が設定
② 起動上全ての点を時間管理

2.4DT実現に向けて

4DTを実現するには、通信・航法・監視技術の発展が必要となります。
現状においても将来予測が行われていますが、予測通りに運航できず、遅延してしまう場合があります。
こうした運航に影響を与える要因を明確にし、フィードバックすることで予見能力をより向上させる必要があります。

実現に向けて、航行計画策定のプロセスにおいて、AIにより遅延時間に影響する特徴量(気象情報、機体情報など)
を分析することで、航行時間の精度向上を図っています。

  1. 仮設を立てる
  2. データを収集する
  3. データを整形する
  4. 機械学習(AI)
  5. 学習結果の考察
  6. 航行計画策定システムへのインプット

AIは、精度の高い航行計画を算出するように進化することが想定されます。
しかし、ブラックボックス的なAI技術だけでは、重要な場面ほど適用されにくいことも想定されます。
これからは、判断根拠を説明できるXAI技術を適用し、高精度かつ説明力のあるAIが高度な未来社会のキーテクノロジーとなると考えられます。